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家具

今日も帰宅は夜遅く。
ドアを開け、部屋を横切り、荷物を放り出して、ソファーに身体を沈める。


目を瞑り、大きく息を吐く。


疲れた吐息に応えるように、小さなくぐもった声が、静かな部屋に響いた。

部屋の片隅……ソファーで死角になっている一角で、這いつくばる一人の男。
……いや、もう「一人」なんて言い方は正しくないだろうか。

服を身につけない代わりに、口にはボールギャグ、首には首輪。
首輪からはチェーンが伸び、手を大体みぞおちの辺りで固定するよう、手枷の鎖に繋がっている。
人としての尊厳を、剥ぎきったかのような姿。


目に喜びともとれる色を浮かべ、何事かを言っている。……が、口のボールギャグに阻まれ、全く言葉になっていない。



「……足置き。」

短い、短い言葉を、彼女は誰ともなく呟く。

たったそれだけの一言に反応し、うまく動かない身体をすぐさま足下まで這いずらせ、当然のようにうずくまる。

その背中に、投げ出していた足を、また当然のように乗せて。



「奴隷」でも、「ペット」でもない。

「椅子」と言えば椅子。
「物置」と言えば物置。


この男は、ただの「物」でしかなかった。



「……位置、低いけど。」

単なる調節とでも言うように、腕を伸ばし、手を閃かせる。
乾いた音と、引きつった臀部に付いた、赤い赤い手形。

「いつも言ってるでしょ?いい加減学習しなさいよ。」

小さく呻き、制限の付けられた不自由な腕を目いっぱい伸ばし、上体を起こして背中の位置を上げて。
肘で支える事を許されず、関節を伸ばしきることも出来ない。
腕に、小刻な震えが走った。

苦しげに、耐えるように。……しかし、あそこだけは、まるで苦痛など感じていないかのように固くして。


「足を乗せられて興奮してるの?お前。」
足を伸ばし、触れるか触れないかで撫でる。
一瞬、震えを増す身体。また、何事かを言うが……やはり言葉にはならないまま。


「……何を言ってるか、さっぱりね。」

足置きの言葉なんてわからない、と切り捨てて。

彼女は姿勢をくつろがせ、テレビをつける。
話す事も、口を閉じることも封じられた、ただの「家具」と化した男の口の端から、唾液が一筋こぼれるのを、見遣ることも無いまま。




某、変態さんに捧ぐ。
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プロフィール

くー

Author:くー
こじらせM男の方々と会話していて浮かんだものや、
一時の衝動をまとめた物置。
短編と言うよりは概要に近いものばかり。
会話相手がマゾさんばかりなので、そういった内容に偏っています。

楽しく読んで頂けると幸いです。

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