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失学園

学内の隅に位置する、別棟。
その別棟の1階、本館と教員棟に比べると遥かに少ない教室の列。その片隅にある、『生徒会室』と掲げられた一室。

他の教室の半分ほどしかない広さに、四角を描くように並べられた長机。その向こうに置かれた使い古しの教員用机に、1人の少女が静かに座る。


眉上で揃えられた前髪、肩に触れるか触れないかのショートヘア。セーラー服から垣間見える白いインナーと、膝丈のスカート。白いソックスが、彼女が校則をかたくななまでに遵守しているのを物語る。

そんな少女は足を組み、机の下に、自らの足下に目を馳せていた。
口許には、真面目そうな少女からは想像もつかないような、どこまでも意地の悪い笑み。
視線の先には……彼女の上履きの下で、彼女によって床に頭を横たえ、まるで土下座しているような姿勢の、1人の青年。

彼が身を包む多少埃で白く汚れたそれは、彼も彼女と同じ、学生であることを意味している。
爽やかなスポーツ刈り、無駄な肉のない肢体。運動部らしい力強い身体は今は少女の足下でなりを潜め、ただ無音の室内に彼の荒い息だけが響いた。


「ねぇ先輩、後輩に土下座して、それを足蹴にされて楽しいですか?ねぇ?
私はガッカリですよ。今も、今までも、とってもガッカリです。だって学校の人気者が、こんなことされて興奮する変態なんて……ねぇ?」


その声に、彼は一際大きく息を吐いて答える。
サッカー部のキャプテンにして、その陽気な性格から後輩にも同級生にも愛される、皆の人気者。そんな彼の、言えない欲望。


「あーぁ、ホントにガッカリです。
……こんな情けない姿、学校なのに書記の後輩に頭踏まれて興奮してる姿、皆が見たらどう思うでしょうね?」


ねぇ、生徒会長さん、とかけられる声に、ひくりと震える肩。
しかし、それが怯えによるものでないのは、彼の吐く熱い息と上気した頬から見て明らかだった。


マゾヒスト。彼の、人には言えない性癖。
バレればどれほどのものを失うことになるかわからない、それでもどうすることも出来ない秘密。

しかしその秘密は、
誰にも知られない、1人の少女の性癖によって弄ばれる。


「別棟とはいえ、誰が来るとも知れないのに……」


言いかけた直後、教室のドアが開けられる音に、彼の全身に緊張が走る。

幸いというべきか、教員用の机には前張りがあり、座っている人の足下を隠してくれる。
ただし、正面からのみ、だが。


「ねぇ、〇〇君見なかった?」

聞き覚えのある声。
……同じく生徒会で副会長を務める、彼の同級生の、自分の所在を探す声。
痛みが走るほど、早鐘を打つ心臓。
極度の緊張から、血の気の引く頭。
しかし、必死で殺す荒い息は緊張以外の色も濃くし、熱を持っていた下腹部は、ますます熱を帯びる。

──もし見られたら。

すべてが終わる。何もかも。
目の前がクラクラし、わずかに景色がぼやける。
それでも彼の内には確かに、興奮が存在していた。


「知らないです……。
あ、もしかしたら上の図書室かも……。」

先ほどまでの人を嗤う姿は欠片もない、小さく頼りなげな彼女の返答に礼を言い、閉められる扉と遠ざかる足音。
大きく、喘ぐように息をつく彼。
極度の緊張による汗が全身にまとわりつく。しかし、ズボンにはあきらかに汗ではないもののシミが出来ていた。



「……もしかして、□□先輩に見られそうになって興奮したんですか?w」


浅ましい自らを指摘され、さらにシミを広げる。答えの代わりに、意地悪く真っ直ぐ見つめる彼女の目に、興奮に染まりきった顔を晒した。



生徒の模範となる者の集まるべき教室。そこが背徳に堕ちていることは、誰も知らない。
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プロフィール

くー

Author:くー
こじらせM男の方々と会話していて浮かんだものや、
一時の衝動をまとめた物置。
短編と言うよりは概要に近いものばかり。
会話相手がマゾさんばかりなので、そういった内容に偏っています。

楽しく読んで頂けると幸いです。

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